中国伝統医学太極拳会・日本廉譲堂太極拳会
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中国伝統医学太極拳会は2000年9月に日本・名古屋で設立されました。地域やカルチャーセンター等での指導を通じて、中国の伝統文化が培ってきた太極拳を通じた健康づくりに邁進しております。

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掲載情報

【2009年 日本生理学雑誌に掲載】
日本生理学雑誌 
AFTERNOON TEA 312 ●日生誌Vol. 71,No. 10 2009
名古屋大学医学部細胞生理学講座
劉紅年

名古屋市立大学山本喜通教授からバトンを受けました名古屋大学医学部細胞生理学の劉紅年です.大学での研究テーマは胃腸管(第二脳―Second Brain)のカハールの介在細胞Interstitial Cells of Cajal(ICC)について行っています.人間は正常な腸管のリズム運動維持をICC細胞が司っており,腸管運動のペースメーカーとして機能していま す.ICC細胞が欠損すると機能性胃腸障害や過敏性腸症候群を呈し,またパーキンソン病や糖尿病の病態にも関与していると云われています.ICC細胞の機 能的な役割の全貌は不明であり,現在アクティブな研究分野です.このICC の発見者は1906 年のノーベル賞の受賞者Santiago Ramóny Cajal(ニューロン説で受賞)スペインの神経解剖学者です.近年,高ストレス社会である日本ではこの10年間連続で年間自殺者は3万人を超え,主要先 進国のなかで自殺率は一番高く,その約半数はうつ病に罹患しているといわれています.うつ病とセロトニンが深く関わっていることが周知され,SSRI (Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)が治療薬として広く使用されています.ストレスによって胃腸の具合が悪くなることを私たちはよく経験し,うつ病と診断された患者の 80%以上では機能性胃腸障害の症状を訴えます.日本人は遺伝的にセロトニンの取り込み効率が悪い人の割合が高く不安症や鬱状態に陥りやすい人が多いとい われています.実は人体内のセロトニンの分布は,脳内には全体の2% しかなく95%以上が消化管の粘膜に存在しております.ゆったりとしたリズム運動はセロトニンの分泌を活性化させるといわれていますが,不思議な縁から医 学部部長濱口道成先生(現在名古屋大学総長)の依頼で,3年前にその中国伝統太極拳が名古屋大学医学部でメンタルヘルスケアの一貫として取り入れられ講師 として活動する事になるとは夢にも思いませんでした.

大変忙しい中,濱口先生,井口前院長を始め皆真剣に体を動かして,3ヶ月間出張の時間まで調整して頂きながらも一生懸命練習し,毎回終了したときに皆さん の目が輝き、笑顔がこぼれる表情を見ていると,セロトニンの活性化があることを実感し,私自身も幸せな気分になりました.修了式後には,濱口先生,井口前 院長から,「太極拳命」と書かれた記念カードを頂き私にとって宝物となりました.

私は現在中国伝統楊式太極拳第五代継承者としてNHKカルチャーセンター,朝日カルチャーセンターなどで多くの日本の方々に伝統太極拳の指導をしていま す.中国伝統太極拳(腸管リズム賦活運動)を用いて,116 名の被験者(30 代から80代)調査により週1 回,30 分以上の太極拳運動を行った後90%の被験者に気分改善がみられ,この幸福感は2―3 日維持されました.さらに週2―3 回,1 回30分以上の太極拳運動を行うと被験者が精神の充足感,不安解消,楽観的になると報告されました.すべての消化器症状を訴えた人が,太極拳運動を行った あと消化器症状(便秘,下痢)の症状が改善されたと報告されました.

3 年前私たちは消化管の粘膜以外のICC 細胞から内因性セロトニンがICC のペースメーカー機能を駆動することを見いだし,その結果を第6回国際セロトニン学会で発表しました.その時出会ったセロトニンの発現者Dr. Rapport先生(写真2)から「研究に一番重要なのは情熱を維持すること」との励ましのアドバイスを頂きましてとても感動しましたが,博士は現在90 歳超えても研究活動を継続しています.偶然にも彼も太極拳を行っていること伺い驚きました.伝統太極拳の練習ポイントは「気沈丹田」で日本でも武道におい て丹田を意識するようにいわれる由縁であります.実はこの丹田という場所は,人体では腸管の場所にあたります.セロトニンはリズム性運動によって活性化さ れます.実は,中国伝統楊式太極拳の始祖楊禄禅大師が亡くなる前,弟子たちに太極拳の奥義を尋ねられた際,大師は武術的な事では無く「詳問用意終何在,延 年益寿不老春」と答えたそうです.これは,太極拳の最終的な目的は,「アンチエイジング,心身ともの健康の実である」,という意味です.現在,研究段階で すが,「太極拳」,「丹田」,「過敏性腸症候群」,「セロトニン」,をキーワードとして,しっかりした結果を出して脳―腸機能相関を活かして日本人のうつ 気質の改善,うつ病の予防・治療技術開発につなげ社会に還元できたら幸いです.

【Schan Vol.07 に掲載されたオトナカタログ 2007年】
太極拳研究家
劉紅年
中国伝統医学太極拳会・会長

中国上海市出身。医学博士。上海で立ち寄った公園で伝統楊式太極拳に出会う。修行の末に伝統楊式太極拳第5代伝人となる。その後、名古屋大学医学部博士課 程を卒業する。現在では名古屋大学の研究員として太極拳を医学的に研究する傍ら、NHKカルチャーセンターなどで講師を務め、太極拳の素晴らしさを伝えて いる。

本物を体で感じてほしい
「子どもたちが夢を持って生活できることが私の夢です」。そう熱っぽく語る劉さん。知らない子どもに対しても「ポイ捨てしちゃだめ」「挨拶をしっかり」など注意をしてしまうとか。
「子どもたちはコミュニケーションが下手。だけど、大人が積極的になれば、きちんと分かってくれる」「子どもたちに正論を言っても仕方がない。それはみんな分かってる」と、劉さんはいう。
それは中学・高校など、様々な場所で太極拳を教えている間に痛感したこと。だから太極拳を通じて真剣に打ち込んだときの達成感や感覚を体で、肌で感じてもらおうとしている。

太極拳は中国文化の華。
異文化に触れることは、心を豊かにする。

劉さんは、興味を持ってもらえるように努力を惜しまない。太極拳の効果を医学的に証明したり、かっこよく演舞したり、護身術としての側面を説明したり。
全ては自分の信じる「本物」の太極拳を感じてもらうためだ。
そして、「子どもたちには何でも興味をもって取り組むようになってほしい」という。劉さんと師匠との、太極拳との出会いがあったように、その中に夢が見出せるかもしれないから。


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